モウコハン。

   

実家に頼れない私の諸事情と希望

私は母子家庭の一人っ子として育ち、遠方の実家では私の母がひとり、パート収入と年金で細々と暮らしていました。

数少ない親戚も近くにはおらず、出産だからといって頼れるような関係でもない。祖父は私が生まれる前に他界しており、祖母は遠方の老人ホーム。

長男を出産するときは、何の問題もありませんでした。ただ単に私が入院・出産し、その間は夫がひとりで過ごしてくれればいいだけのこと。 料理のできない夫のために、いつもより多めの食費を用意しておくだけで済みました。ただ、周りの多くの産婦と違う点は、退院と同時に普段通りの生活に戻り、はじめての育児はもちろん、家事も夫が仕事で留守の間は全て自分ひとりでやらなければならなかったこと。 しかも夫は休みが少なく、一日の勤務時間も普通のサラリーマンとはまるで比較にならない長時間で、食事・入浴・必要最低限の睡眠だけのために帰宅しているような毎日でした。

なといっても初めての育児。誰も教えてくれる人がいないので何もかもが手探り。しかも普通分娩ならまだしも帝王切開産婦にとってはまず何より体力的にキツイ。けれど、やって出来ない事ではないし、不平不満を言ったところでどうにもならないので、術後の体にムチ打ってなんとかやり通しました。

おかげで産後1ヶ月も経たないうちに妊娠前の体重を下回り、決して健康的でない痩せ方をしてしまったうえに排卵障害による体調不良で長期間通院することにもなり、そのまま続発性不妊にも繋がってしまいました。今思えばそれも良い経験だったのかもしれませんが、 一般的には「それが普通」とされる周囲の母親たち…私から見れば恵まれた環境で育児をする人たちを見るたびに惨めな思いで涙が出るほど、本当に大変でした。



選択肢

今回は私が入院している間、長男をどうするか?という、避けては通れない重要な問題があります。

考えられる選択肢は

・里帰り出産をして入院中だけ母に仕事を休んでもらう
・夫の実家を頼る
・子連れ入院できる病院で計画出産する
・自治体の子育て支援や保育園・ファミリーサポートを利用する
・入院中だけ母に仕事を休んでコチラに来てもらう


【里帰り出産という選択肢】
時間とお金をかけ、夫を自宅にひとり残してまで里帰りをしたところで、私の場合、何のメリットもない。
母はパートに出掛けてほとんど家にいないので、自宅にいるのと同様、家事も長男の世話も私がひとりですることになる。 実家は電車も通っていないようなド田舎で、病院の数は少なく、「ここじゃ助かるものも助からない」と町じゅうの人が言うほどのヤブ医者揃い。 何かあっても緊急に対処できる病院まで数時間かかる。しかも、そこまで行く足が救急車以外にない。風呂や台所も古くて使い勝手が悪い。私たちがいない間の夫の生活費もバカにならない。…など、逆に大変なことばかり。

【夫の実家を頼るという選択肢】
夫の実家は近いけれど、子供を預けたり産後お世話になるというような思考は、私の中にはあり得ない。それはたとえば「つわりを考える」にあるように傍若無人な姑の被害に遭うことが想像に難くなかったから。 私だけならまだしも、長男、そして生まれたばかりの次男を、煙草の煙から守らなければならない。他にも挙げればキリがないほど、そういったトンデモエピソードはたくさんある。 それに現実問題、両親とも働いているうえに、義妹夫婦が同居。いずれにしても無理。

【子連れ入院で計画出産という選択肢】
第1子が普通分娩なら、それも考えられたかもしれない。
一応調べてはみたけれど、近くにそれができる病院が存在しないこと・前回帝王切開のため今回も同じ病院での出産が望ましいこと・費用などを考えると、これも選択肢から外すしかない。

【自治体の子育て支援や保育園を利用するという選択肢】
私なりに調べ真剣に考えてみたけれど、これも我が家には無理であることが判明。
それは何故か? 公的一時保育サービスにしろ、一般のファミリーサポートにしろ、どういった施設を利用する場合でも、例えば「平日は午前7時半~午後6時、土曜日は午前7時30分~午後1時」というように、利用時間が限られている。 夫は毎朝6時前には出勤、早出ともなれば4時台ということもある。帰宅時間はその日の仕事内容によってマチマチで、まったく予想がつかないうえに融通が利かないし、そもそも遅くて当たり前。他のお宅が消灯する頃に帰ってくればマシなほう。午後6時や7時なんていうマトモな時間に帰ってきて子供を迎えに行くことなど到底無理!もはや延長保育がどうのこうのというレベルの問題ではない。 有休もなければ、育児休暇なんていうのもまったく別世界の話。



こうなるともう、入院中だけ母に仕事を休んで来てもらい、長男を預けるという選択肢しかないわけです。 しかしこの選択肢にさえ問題があります。年金とパート収入で細々と暮らしている母に仕事を休んでもらわなければならないというのは、イコールそれだけ負担をかけてしまう、ということ。 しかも母は命に関わる大病を経験していて、10年以上経った今でも薬漬けの毎日を送っており、めまいなどの後遺症もあります。そもそも私の母は、恐らく、これを読んでいる皆さんがイメージする普通のお母さんとはまるで違う人。普通の親子関係ではないのです。
<追記>次男出産4ヶ月後に母は再び「くも膜下出血」で倒れました。詳しくは『親が病気になったとき』へ。

そんな八方塞がりの諸事情があり、親に頼ったり負担をかけることがタブーな環境で生きてきた私にとっては、これだけでもかなり心苦しい…
「出産のときくらい甘えてもいい」とか「それくらい仕方ないじゃないか」などと簡単に言ってしまえる人は、それだけ恵まれてるのです。



優先順位

このような諸事情から、入院中だけ母に仕事を休んでコチラに来てもらい、長男の面倒をみてもらうことは決まったものの…その期間はできるだけ短いほうが良いわけです。ということは…普通分娩で産めるものなら、そうほうがいい!!ということになります。

帝王切開経験者は「次は下から産みたい!」と思うものです。でも私の場合は、単に女性として「下から産んでみたい」「普通分娩の感動を味わってみたい」などというものではなく、このような厳しい現実問題があり、入院日数(=母への負担=何倍にもなって自分に跳ね返ってくるあらゆる負担)と考えます。

退院後すぐに普段通りの生活に戻らなければならない自分の身体の回復といったことを考えれば、普通分娩が望ましいのは確かです。それに、もちろん「下から産んでみたい」「もうお腹を切りたくない」という気持ちも無いワケではありません。でも、そんなことは言っていられないのです。


帝王切開後のお産
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